tofubeats『FANTASY CLUB』
すばらしいアルバムだった(まだ1回しか聴いてないけど)。
「君は いい 君は 気づかないでいい」(CHANT#1)
「何がいらなくて何が欲しいか 自分でも把握できてないな」(SHOPPINGMALL)
tofubeats - SHOPPINGMALL (LYRIC VIDEO)
「ノリだけの時とは何か違う 頭 使っててもまた間違う」(LONELY NIGHTS)
「何が食べたいとか そのくらいも決められないなら
欲してるもの 手に入れられてるかって もうそんなの気にしないで」(WHAT YOU GOT)
tofubeats - WHAT YOU GOT (視聴動画)
「ずっとさ 自分がわかってる 気分でいつも暮らしてたから」(BABY)
「信じたいことは 信じにくいから でも反対には 行けないしなって」(CHANT#2)
tofubeatsの曲で、歌詞でここまでじーんときてしまったのは始めてかもしれない。『水星』ももちろんよかったのだけど、その話題性の大きさと僕が知った頃が半年くらいずれていて、ちょっとリアルタイムさを直に感じられなかったところがある。
何を信じていいのかわからない。昔やりたいと思っていたことも、憧れていた人も、今となってはもう見方は変わってしまっていて、当時みたいに盲目的に信じることができない。じゃあ完全に嫌いになってしまったかというとそういうわけでもなくて、やっぱり良いなと思うところもあって、ぱーんと反対側に行ってしまえば楽なのだろうけれど、そういうわけにもいかない。
別の可能性がある、別の見方がある、ということは贅沢なようで残酷だ。昔は「視野が広がる」ということをプラスに捉えていたし、人生の中でそれが実際にプラスに働く時期もあるのだろうと思う。けれどもう今となってはなんだか辛くて「こういう風な考え方もできる」というのが増えれば増えるほど、どうしていいかわからなくなる。「君はもう 気づかないでいい」と言われると、ちょっと楽だ。
自分がどういう状態かとか、何が食べたいかとか、そういう感覚に鋭敏になればなるほどいいと思っていた時期もあった。実際そういう状態になれたらけっこう面白いのだけれど、どこかで疲れてくる。もっと、ぼんやりと周囲の境界なんてものは曖昧にして漂っていたくなることがある。どうしていいかわからない。何が欲しいか、自分でも把握できていない。
じゃあもういいや、何も考えずにノリで生きるか、とも思うけれどなかなかそういうわけにもいかない。考えすぎても、考えなさ過ぎてもだめな気がして、身動きが取れなくなってしまう。どこまでいっても、どっちつかずなまま、結局1日が終わっていく。
こういう感じにダイレクトに響いてくる感じがしてすごいアルバムだった。iTunesに取り込んでイヤホンつけて聴き始めて、たまに歌詞カード見ながら聴いてちょっと泣いた。
あと装丁もいい。歌詞カードの手触りがすごくいいし、僕は新しいCDを買って歌詞カードのページから漂ってくる印刷の匂いが好きなのだけれど、久々にそれを嗅いだ。ライナーノーツもついていて、Amazonで買うと特典ディスクみたいのもついてきてお得。Spotifyでも聴けてしまうけど、フィジカルに持ってたくなる盤という感じがする。
色々とアルバムに関連してインタビュー記事が上がっていて、こないだちょっと読みかけたけどこれは聴いてから読むべきだと思ってそっと閉じた。いくつか読みたいのがあるけどまずは自分で感想書いてからだな、と思ったのでとりあえずゆっくり消化していこう。2017年に聴くべきと思えるアルバムを、リアルタイムに聴けることの贅沢さよ。
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- アーティスト: tofubeats
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2017/05/24
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